日本人の心のふるさと・伊勢神宮の神様「アマテラス」を知ろう│日本の神様

神社の中でも代表格とされる伊勢神宮。
正式名称は「神宮」であり、皇大神宮(通称:内宮)と豊受大神宮(通称:外宮)をはじめとする三重県伊勢市とその周辺に鎮座する125社の総称です。内宮には皇室の祖先神であり、日本人の大御祖神でもあるアマテラスが祀られていることから、他の神社とは一線を画す存在であることがわかります。
今回は、伊勢神宮とその御祭神であるアマテラスについてご紹介します。

※神様に関しての由来やご利益には諸説あります。

目次

伊勢神宮とは?起源と神社の種類

伊勢神宮

先に説明したとおり、伊勢神宮の名で多くの方に親しまれていますが、正式には「神宮」とされ、正宮である内宮(皇大神宮)外宮(豊受大神宮)の他に、 伊勢市とその周辺に鎮座する14社の別宮と109社の摂社、末社、所轄社125社を合わせた総称です。

  内宮 外宮
正宮(しょうぐう) 皇大神宮 豊受大神宮
別宮 10社(第一別宮:荒祭宮) 4社(第一別宮:多賀宮)
摂社 27社 16社
末社 16社 8社
所管社※ 30社 4社

※所管社は他に、別宮「瀧原宮」「伊雑宮」にそれぞれ3社、5社あります。

別宮とは、内宮・外宮の「わけのみや」の意味があり、正宮と関わりが深い神様を祀っています。
摂社とは、927年に編纂された『延喜式神明帳』の中に記載されている神社、末社とは804年編纂の『延暦儀式帳』に記載された神社をいいます。
所管社は、正宮・別宮・瀬社・末社以外の神社で、衣食住を司る神様が祀られています。

内宮は約2000年前に創祀された、アマテラスを祀る神社です。アマテラスはもともと皇居に祀られていましたが、第10代・崇神天皇の時代に、新しく倭笠縫邑(やまとかさぬいのむら:現在の奈良県)に祀られるようになりました。
その後、第11代・垂仁天皇の時代には、伊賀や近江、美濃など諸国を巡られた後、現在の地である三重県伊勢市郊外の五十鈴川のほとりに鎮座されるようになりました。天武天皇・持統天皇の時代に、神宮は大きな規模になったといわれ、神宮式年遷宮もこの頃に始まったとされます。

外宮は約1500年前に丹波(京都・兵庫・大阪の一部)に祀られていたのを、アマテラスのお食事を司る神様として現在の地である三重県伊勢市の中心部の高座山の麓に遷されたことが始まりとされます。その神様が、外宮の御祭神であるトヨウケで、食事のみならず、衣食住や産業の守護神とされます。


正しい「お伊勢参り」とは?

夫婦岩

伊勢神宮を参拝するお伊勢参りは平安時代末期から増えたとされ、江戸時代には庶民にも広まりました。現在でも1年間に約800万人以上の方がお参りしているそうですが、伊勢神宮には多くの神社が入っており、どのように参拝すれば良いのか悩む方も多いのではないでしょうか。

お伊勢参りは「外宮先祭(げくうせんさい)」が基本!

伊勢神宮には内宮・外宮と2つの正宮が存在しますが、外宮を先に参拝し、内宮はその後に参拝するのが良いとされます。これは、外宮に祀られているトヨウケが、アマテラスのお食事をお供えする神様であることが由来します。

外宮では、「日別朝夕大御饌祭(ひごとあさゆうおおみけさい)」と呼ばれるお祭りが、朝夕と1日2回執り行われています。これは、ご飯やお水などをアマテラスに奉り、祈りと感謝を捧げるお祭りです。このお祭りの順序にならい、お伊勢参りも外宮→内宮の順に参拝するのがならわしです。

外宮参拝の前に忘れてはいけない「浜参宮」での禊!

二見浦で心身を清めることを浜参宮といい、お伊勢参りをする前に行うのが古来からのならわしです。

二見浦には夫婦岩で有名な二見興玉神社が鎮座しています。古来では、二見浦の汐水を浴びて禊を行っていましたが、現在では、二見興玉神社に参拝し、無垢塩祓い(むくしおばらい)を受けることで禊の代わりとしています。
ぜひ、伊勢神宮の参拝前に立ち寄ってみましょう。

別宮は伊勢神宮域内にあるとは限らない!

伊勢神宮内宮には別宮が10社、外宮には4社あります。しかし、必ずしも伊勢神宮の神域内にあるとは限らず、少し離れたところに鎮座する別宮もあります。

内宮の別宮である荒祭宮(あらまつりのみや)・月読宮(つきよみのみや)・瀧原宮(たきはらのみや)・伊雑宮(いざわのみや)・風日祈宮(かざひのみのみや)・倭姫宮(やまとひめのみや)のうち、荒祭宮・風日祈宮が内宮の神域内にあり、その他は志摩市や度会郡などに散らばっています。

外宮では、多賀宮(たかのみや)・土宮(つちのみや)・月夜見宮(つきよみのみや)・風宮(かぜのみや)の別宮のうち、3社は神域内にあり、月夜見宮のみが離れた地にありますが、外宮より北に600mほどにありますので、内宮ほど散らばっておりません。

このように、広範囲に鎮座してますので、正宮、別宮、摂社など全てまわる125社参りを行うには、数日かかるとされます。公式ホームページでは、13のモデルコースが推奨されていますので、無理なく参拝してみましょう。



伊勢神宮内宮の神様「アマテラス」とはどんな神様・ご利益は?

太陽

日本の最高神であるアマテラスは、漢字で「天照大御神」と書き、天を照らすという名からもわかるとおり、太陽の神様です。昔から米作りなどの農業が盛んな日本にとって、恵みをもたらす太陽は何よりも大切にされ、「お日様」という言葉にもその思いが込められています。

アマテラスは、イザナギが禊祓(みそぎはらい)を行った際、左目を洗った時に生まれ、高天原を治めることになります。またアマテラスの子孫が地上に降り、皇室の祖神となるとともに、日本国民の総氏神となりました。

禊祓の際には、右目からはツクヨミが、鼻からはスサノオも生まれました。ここにアマテラスを合わせた三柱は、最も貴い神「三貴子(みはしらのうずみこ)」と呼ばれています。

そんなアマテラスは最高神であるため、あらゆる福徳・招福のご利益があるとされており、主に国土安泰・子孫繁栄・五穀豊穣・開運などがあげられます。

※高天原とは
天上界とも呼ばれ、アマテラスが統治する世界。ここに住む神様は天津神とされます。

有名な神話「天岩戸神話(天岩戸隠れ)」

アマテラスで有名なお話といえば、「天岩戸神話(天岩戸隠れ)」でしょう。
高天原に訪れた弟であるスサノオの乱暴により、アマテラスは天岩戸(あまのいわと)と呼ばれる洞窟に隠れてしまいます。太陽神の不在により真っ暗になった世界では、食べ物が育たなくなり、病気になるなど多くの災いが起きます。

そこで、閉じこもったアマテラスをどうやって誘い出そうかと、高天原の神様たちは相談し合い、名案を思いついたのが、知恵の神様でもあるオモイカネです。
「天岩戸の前で盛大なお祭りを行うことで、アマテラスが気になって顔を出すのではなかろうか。」ということで、様々な仕掛けを行います。そのお祭りの中で芸能の女神であるアメノウズメが一心不乱に踊り、服がはだける姿をみて、神々は大笑いします。

その楽しそうな声を聞いたアマテラスは不思議に思い、天岩戸の戸をわずかに開けたタイミングで鏡を差し出されました。鏡に映った自分の姿に驚いている隙に、大力の神・アメノタヂカラオが扉を押し開いて、世界に光が戻るとともに、あっという間に災いも去りました。
これはアマテラスが太陽の神様であり、その太陽が失われると大変な事態になるということがよくわかる神話です。

豆知識
・アメノタヂカラオが扉を押し開き、飛んでいった岩が戸隠山(長野県)になったとされ、戸隠山にある戸隠神社にアメノタヂカラオは祀られています。
・アマテラスを天岩戸から引き戻した際に使用した鏡を八咫鏡(やたのかがみ)として、現在では三種の神器のひとつとされています。

意外と身近な存在の神様!アマテラスと関わりのある行事・風習

日本人が太陽やその光がもたらす恵みに感謝しているからこその行事・風習があります。

初日の出

初日の出

1月1日の朝に昇る初日の出に、特別なものを感じている日本人は多いと思います。1年の最初に地上を照らす光は、太陽の神様であるアマテラスの権威そのもの。光の輝きと温かさに、新しい1年の健康や幸福を願います。

初日の出を拝むようになった起源は、平安時代から始まった「四方節」と言われ、貴族・庶民へ伝わったと考えられています。
現在は「四方拝」と名前を変え、元日の早朝5時半から天皇陛下が伊勢の神宮、山稜および四方も神々に拝礼する儀式として、一年の最初に行われている宮中祭祀(きゅうちゅうさいし)とされています。

※宮中祭祀とは
天皇が国家と国民の安寧と繁栄を祈ることを目的に行われるもの
年間約20件近くの祭儀が行われています


神宮大麻

神宮大麻

伊勢神宮のお神札は神宮大麻(じんぐうたいま)と呼ばれ、全国各地の神社でいただくことができます。お正月を迎える前に、家の中にある小さな神社ともいえる神棚に神宮大麻と氏神様のお神札をお祀りすることで、家族の一年の無事と幸せを祈りましょう。

アマテラスに関するパワースポットとは

アマテラスを祀る主な神社として最も有名なのは三重県の伊勢神宮内宮の正宮である皇大神宮や別宮である伊雑宮(いざわのみや)です。他にも、宮崎県の天岩戸神社、兵庫県の廣田神社、山口県の山口大神宮などがアマテラスを祀っています。

「東京のお伊勢さま」として有名な東京大神宮伊勢山皇大神宮をはじめ、全国にはアマテラスをお祀りする神明神社と呼ばれる神社が多数存在しています。太陽の恵みに感謝しながら、アマテラスからパワーをいただけるように参拝してみてはいかがでしょうか。

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