神在月・神無月とは?由来に関わる出雲大社の神様「オオクニヌシ」を知ろう|日本の神様

10月は、全国の八百万の神様が島根県の出雲に集まる月とされ、全国にいる日本の神様が留守になるという意味で神無月と呼ばれます。
しかし、神様が集まる出雲では、神在月と呼ばれることを知っていますか?
今回は、神在月・神無月にまつわるお話とオオクニヌシについてご紹介します。

※由来は諸説あります。

目次

10月は八百万の神様が集まる?|神在月・神無月の由来とは

和風月名では、10月を神無月(かんなづき・かみなづき)といいます。これは、全国から日本の神様が出雲に集まるからという理由が一般的ですが、他にも、「雷が鳴らない月=雷無月(かみなしづき)」や「新穀でお酒を醸す月=醸成月(かみなしづき)」からきているのでは、という説もあります。

10月といっても、現在の暦の10月を指しているわけではなく、旧暦の10月のことを指します。2019年の場合は10月28日(月)〜11月26日(火)にあたります。

また、出雲には神様が集まるとの言い伝えが世間で広く信じられるようになり、出雲では、神在月(神有月)と呼ばれるようになりました。

ただ、出雲に神様が集まるとされていますが、すべての神様が集まるわけではありません。
一説によると、出雲に集まるのは国津神(くにつかみ)のみで、天津神(あまつかみ)は特に集まることはないそうです。

国津神・天津神とは
古事記・日本書紀など日本神話に登場する神様の分類。
オオクニヌシなど地上に住む神様を国津神、アマテラスなど天の高天原に住む神様を天津神といいます。

伊勢神宮に祀られているアマテラスとトヨウケは天津神なので、旧暦10月になっても出雲へ行くことはありません。

また、全国の神様が出雲に集まるからといって、神様が不在の土地に参拝することは無意味だと勘違いしてはいけません。
忙しくて出雲に行けないとされる七福神の恵比寿がお留守番をしています。神無月でも、神様がいないわけではありません。お好きなタイミングで参拝しましょう。

神様は神在月に集まって何をしている?|出雲大社・神在祭

稲佐の浜

では、全国の神様は神在月になると、出雲のどこに集まって、何をしているのでしょうか。

まず、旧暦10月10日に出雲大社から約1km西方にある稲佐の浜に全国から集まった神様は上陸します。
稲佐の浜は国譲りや国引きの神話でも有名ですね。

国譲り・国引きとは
国譲り:古事記・日本書紀に描かれる神話で、オオクニヌシが統治した国を天津神へ譲るお話。譲る旨をお達しする役目であったタケミカヅチが最初に降り立った場所が稲佐の浜とされる。
国引き:出雲国風土記に描かれる神話で、新羅(現在の韓国)付近にある土地を出雲に引き寄せて国を形成するお話。稲佐の浜は国引きの綱部分とされる。

集まった神様は、その後、全国の神様を束ねるオオクニヌシが鎮座する出雲大社へ向かいます。
そして、旧暦10月11日から17日ものの間、出雲大社で自らが鎮座する土地に関しての縁結びや翌年の収穫などについて会議を行います。その会議は、正式には神議り(かむはかり・かみはかり)と呼ばれ、出雲大社の境外摂社である上の宮で執り行われます。

会議の期間中、神様は出雲大社の本殿の東西にある十九社(じゅうくしゃ)に宿泊します。
つまり、神様は7日間もの会議が行われる上の宮と宿泊場所である十九社を行き来しているのです。

会議がすべて終わると、旧暦10月17日に神様は出雲大社を出発しますが、すぐに元の場所に戻るわけではなく、出雲に数日滞在し、旧暦10月26日に出雲から各地へ還られます。

現在は、これらの神様のスケジュールにあわせて、出雲大社で神在祭を開催しています。
一般参加ができる行事もありますので、気になる方はぜひ訪れてみてはいかがですか。

神迎神事・神迎祭|神様をお出迎え

日時:11月6日(旧暦10月10日)
場所:稲佐の浜、出雲大社神楽殿

19時頃に稲佐の浜で御神火が焚かれ、神籬(ひもろぎ)と龍蛇神が配置されます。神事が終わると、豊漁・家門繁栄などの信仰を持つ龍蛇神を先頭に、参拝者とともに神迎の道を通って浜から出雲大社へ向かいます。

神在祭|神議りを行う

日時:11月7・11・13日(旧暦:10月11・15・17日)
場所:出雲大社上の宮

人生諸般のことや男女の結びなどについて、神議りにかけて決められるといわれています。この期間は神様の会議に粗相があってはならないということで、土地の人はひたすら静粛を保つことから御忌祭(おいみさい)ともいわれます。
※一般の方は参列できません。

縁結大祭|幸縁結びを祈る

日時:11月11・13日(旧暦:10月15・17日)
場所:出雲大社御本殿

縁結びの神議りが行われる神在祭に併せて、行われます。集まった神様に対し、世の人々の縁結びを祈る祝詞が奏上されます。
参列するためには、出雲大社への事前申込が必要です。

神等去出祭|神様をお見送り

日時:11月13・22日(旧暦:10月17・26日)
場所:出雲大社御本殿

出雲大社の他に、日御碕神社佐太神社などで神在祭が行われ、それが終わると、万九千神社から神様はそれぞれの国に還られます。
11月13日(旧暦:10月17日)は出雲大社から神様がお発ちになる日、11月22日(旧暦:10月26日)は出雲の国を去る日として、2回に分けて執り行われます。

出雲大社の御祭神「オオクニヌシ」とはどんな神様・ご利益は?

大国主大神 幸魂奇魂

さて、全国の神様が集まるとされる出雲大社に祀られているのは、「オオクニヌシ」とお伝えしました。

オオクニヌシは描かれている場面や書籍の違いにより、多くの呼び名があります。
幼い頃はオオナムチ(大己貴・大穴牟遅)という名前を用いられることが多く、他にも、強い男・ハンサムのような意味をもつアシハラノシコオ(葦原色許男・葦原醜男)、多くの男根を持つという意味のヤチホコ(八千矛・八千戈)があります。

また、オオクニヌシは漢字で「大国主」と表記され、音読みで「ダイコク」と読めることから七福神の大黒天と同一人物ともされます。

多くの呼び名を持つオオクニヌシですが、神話の中で「因幡の白ウサギ」「根の堅洲国」「国造り」「国譲り」などに登場し、医療の知識に長けていたり、妻と子供を多く持つほどの色男だったりと、多くのエピソードが語り継がれています。

そんなオオクニヌシは縁結びのご利益があるとして有名です。
その所以は、オオクニヌシが天津神に国を譲る話からきているそうです。

その話のなかで、顕事は天津神に譲り、オオクニヌシは神事を行うこととなります。

顕事・神事とは
顕事:現世の政治。人間界に現出するすべての事象。
神事:幽世。人間に見えない・聞こえない神や霊魂の世界。

そして、オオクニヌシは目には見えない霊魂の世界のむすびの力を司っている神様ということで、神在月・神無月では人々の縁組みについての相談をされる、という縁結び信仰が広まりました。

ここでいう「縁」とは、男女の縁に限らず、生きとし生けるものがともに豊かに栄えていくための結びつきをさします。

江戸時代に井原西鶴によって書かれた浮世草子『世間胸算用』の中で、「出雲は仲人の神」という一文があります。これが縁結び信仰として確認できる一番古い記録とされています。

また、オオクニヌシは出雲の国に農業・漁業・殖産・医薬といった様々な知恵を授け、国造りを成し遂げられたことから、縁結びの他にも五穀豊穣商売繁盛病気平癒など多くのご利益を持つ神様です。

オオクニヌシのご利益一覧

・縁結び

・夫婦和合

・病気平癒

・子授け

・商売繁盛

・五穀豊穣 など

オオクニヌシが祀られている神社は?

オオクニヌシが祀られている神社で最も有名なのは、これまでも紹介した出雲大社です。
本社は島根県にあるので、なかなか行けない…と感じる方も多いかもしれませんが、全国に出雲大社のオオクニヌシを勧請した分祠があります。

分祠とは、本社と同じ御祭神を新しく別に神社を設けてお祀りすることです。
東京には六本木のビル街の中にある「出雲大社東京分祠」、神奈川県には小田急線沿いにある「出雲大社相模分詞」がありますので、関東近郊にお住いの方でも気軽にお参りすることができます。
参拝、ご祈祷、お守り授与をすることで、本社と同じご利益を得られますので、近くの出雲大社分祠に立ち寄ってみてください。

出雲大社の他にも、大國魂神社(東京都)気多大社(石川県)飛瀧神社(和歌山県)などにオオクニヌシが祀られていますので、縁結びや夫婦和合などのご利益をいただきたい方はぜひめぐってみてください。

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