疫病除け!?祇園祭で有名な八坂神社の神様「スサノオ」を知ろう|日本の神様

「祇園さん」で親しまれている京都府・八坂神社。日本三大祭のひとつである祇園祭を執り行う神社としても知られ、疫病を鎮めるご利益があるとされています。
今回は、八坂神社・祇園祭のお話とご祭神であるスサノオについてご紹介します。

※神様に関しての由来やご利益には諸説あります。

目次

疫病を鎮める「八坂神社・祇園祭」とは?

八坂神社

「厄災」は、古来より怒りや恨みを持ったまま亡くなった人の御霊のせいであり、疫病を司る神様が流行らせているのでは?と考えられていました。
そのため、世の中で疫病が流行すると、亡くなった人の御霊を讃えるために神社を建てたり、疫病を司る神様をお慰めする祭りを行ったりしていました。

八坂神社の祇園祭もそのひとつです。
869年(貞観11年)に都では疫病が大流行し、人々は恨みを持った人の御霊が祟っているのだと恐れていました。そこで、平安京の庭園に66本の鉾(ほこ)を立て、八坂神社の神輿を祀ることで、御霊を鎮めたとされます。
平安時代中期には年中行事となり、全国に祇園祭が広まりました。

現在では、祇園祭は7月1日の「切符入(きっぷいり)」からはじまり、7月31日の「疫神社夏越祭」まで約1ヵ月にわたって、京都で賑わう盛大なお祭りとなりました。

疫病の神様?「牛頭天王」と「スサノオ」の関係性

八坂神社のご祭神はスサノオですが、神仏習合時代には牛頭天王(ごずてんのう)をお祀りしていました。
牛頭天王はインドのお寺の守護神で、病気を流行らせる神様と考えられていました。祇園祭で鎮めようとした神様が、まさにこの牛頭天王です。
牛頭天王といえば、民話『蘇民将来』で語り継がれていますので、簡単にご紹介します。

※神仏習合とは
日本に元来あった神様の信仰である神道と、外国の仏教信仰がひとつになった宗教の考え方

民話「蘇民将来(そみんしょうらい)」

ある日、旅の途中であった神様は一泊できる宿を探していました。
裕福な家柄の巨旦将来(こたんしょうらい)に宿を請うたところ、断られてしまい、貧しい家柄の蘇民将来に請うと、快く承諾してくれました。

宿泊のお礼に、神様は「茅で作った輪」を蘇民将来へ贈ります。これは、腰のあたりにつけることで、疫病から守ってくれるものでした。
その通りにしたところ、蘇民将来の家族以外は疫病で滅んでしまいました。

その後、神様は自分の正体がスサノオであることを明かし、「これから疫病が流行る時には、蘇民将来の子孫である証として茅の輪を身につけていれば、疫病から助かるだろう」と教えたとされます。

この民話より、スサノオは疫病除けの神様とされ、牛頭天王と同一視されています。

※各地の神社で6月30日と12月31日に行われる災厄を清める「茅の輪くぐり」の儀式はこの民話が由来になっています。

八坂神社のご祭神「スサノオ」とはどんな神様・ご利益は?

スサノオ

スサノオは、太陽神「アマテラス」や月の神様「ツクヨミ」と並び、三貴子(みはしらのうずみこ)と呼ばれています。
この三貴子は、イザナギが黄泉の国から戻った後、禊祓いを行った際に生まれたとされ、スサノオは鼻を洗った時に生まれました。

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ワガママで乱暴!?アマテラス「天岩戸神話」の原因を作ったスサノオ

三貴子はそれぞれ、高天原・夜の世界・海の世界を治めるよう任じられました。言いつけ通り、世界を治めるアマテラスとツクヨミに対して、スサノオはなかなか言うことを聞かず、しまいには、泣きわめいて反抗していました。

父であるイザナギに怒られ追い出されたスサノオは、姉のアマテラスがいる高天原へ向かいます。その向かう様子があまりにも荒々しく、アマテラスはスサノオが襲いに来たのではと勘違いします。

誓約(うけい)により、身の潔白を証明したスサノオでしたが、次第に調子に乗るようになり、田を壊したり、神殿で脱糞をしたりと高天原を散々荒らします。
このことが原因で、姉のアマテラスは天の岩戸に閉じこもってしまいました。

英雄の一面が垣間見える「ヤマタノオロチ退治」

天岩戸の事件が解決した後、スサノオは高天原を追放されました。地上に降り立ったスサノオは、困っているある老夫婦と美人な娘に出会います。

話を聞くと、老夫婦の8人娘のうち7人が「ヤマタノオロチ」に食べられてしまい、最後のひとりである娘ももうすぐ食べられてしまうのでは、と恐れていました。

※ヤマタノオロチ(八俣大蛇)とは 胴体は1つに8つの頭と8つの尻尾を持つ大蛇。8つの谷と8つの丘を渡るほどの大きさを持つ。

スサノオは美人な娘に一目惚れをし、結婚を条件にヤマタノオロチの退治を申し出ました。
無事にヤマタノオロチを退治したスサノオは、娘と結婚し、暴君から一転して英雄となりました。

スサノオのご利益一覧

はじめに疫病除けの神様であることをお伝えしましたが、ヤマタノオロチ退治の話から、スサノオは縁結びの神様としても知られるようになりました。
また、オオクニヌシを始め、多くの子孫を残していることから子孫繁栄、五穀の起源となった話に関係していることから五穀豊穣、 日本最初の和歌を詠んだとされることから学問上達など、様々なご利益があるとされます。

・厄除け

・縁結び

・子孫繁栄

・五穀豊穣

・学問上達

・商売繁盛

・病気平癒 など

スサノオが祀られている神社は?

スサノオは多くの神話に登場することから、全国各地で祀られています。
これまで紹介した八坂神社(京都府)の他に、同じ祇園信仰をもつ広峯神社(兵庫県)津島神社(愛知県)、 名前をそのまま使う素盞嗚神社(広島県)素盞雄神社(東京都)、 関東を中心に広がる氷川信仰の総本社である大宮氷川神社(埼玉県)などに祀られていますので、スサノオに興味を持った方はぜひ訪れてみてください。

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