公共交通機関で西国巡礼をする私にとっては、このお寺が一番の難関です。 繖(きぬがさ)山と、ソフトな名前がついていますが、433mの山頂付近にあるお寺へ行くには、山の麓から長い山道を1時間弱かけて登らないといけません。 観音寺口のバス停から数百メートル程の所にある結神社から山道が始まります。 なんと入り口には獣害防護フェンスがあり、それを自分で開けて入りますが、それだけで覚悟を試されるような気持ちになります。 すれ違う人もおらず、猪と遭遇することもなく歩いて行くと、駐車場からの道と合流する地点まで来て、ようやく他の参拝者と出会いました。 どうやらここはほとんどの方が車で来られているようでした。 駐車場から始まる参道沿いには、数メートルおきに金言が書かれた木札が立っていて、それを33全て読み終わると本堂に辿り着きます。 また途中に「奥の院」と呼ばれる巨石が集まる一角があり、山岳信仰の対象であった土地のパワーを感じました。 近年の火災で焼失したため、本堂も本尊も平成の再建と落慶ですが、京都の現役の名仏師、松本明慶氏作の白檀の大きな千手観音像は圧巻です。 23トンものインド白檀をふんだんに用いた仏像に会うことはそうそう無いでしょう。 境内からは湖東・湖南平野が見渡せます。 帰りは観音城寺跡を経由して桑実寺へ至る道をたどって降りてきました。