このお寺で驚くのはその立地です。交通量が多い府道が合流する三叉路に仁王門があるのです。 仁王門をゆっくり眺めたい、全容を写真に納めたいと府道上に立ち止まっていると、車に轢かれそうになりますので注意が必要です。 境内はそれほど広くなく、訪問者もわずかで、観光客というより巡礼者の方ばかりのようで、そのためか静寂が保たれていました。 お寺の係の方に誘導して頂き、3月から12月まで公開されているという本堂西側の「円応院」という書院造りの建物へ向かい、そこで受付を済ませて拝観を始めます。 順番は自由でしたので、私たちはまず、円応院のお座敷からお庭を眺めました。 多宝塔を借景に、築山に配された見事な石組みとサツキの刈込みが美しい名園で、広縁に敷かれている赤い毛氈がアクセントとなって、さらに庭の緑を引き立たせる演出には脱帽しました。 書院から本堂へは廊下でつながっていて、靴を脱いだまま移動できました。 札所本尊もお寺の本尊も秘仏ですが、この日は寺宝の「厨子王丸肌守御本尊」を特別拝観でき、数センチあるかないかという小さな仏様を、内陣の中まで入り拝観する事が許されていました。 右脇壇には有名な等身大の釈迦如来涅槃像がお布団を被って休まれており、諸病厄除けの霊験あらたかな仏様は、長きに渡って多くの人に撫でられ、黒光りしており、その有難いお姿に自然と手を合わせていました。